Column

コラム
TOP
「景表法」の全体像を徹底解説 ― 知らぬ間に法に触れないための基礎知識とリスクマネジメント

2026/02/07

景表法

「景表法」の全体像を徹底解説 ― 知らぬ間に法に触れないための基礎知識とリスクマネジメント

1. 景表法とは?:その目的と役割

 

景表法の正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」といいます。一言で言えば、**「消費者が、より良い商品を自分の意思で正しく選べる環境を守るための法律」**です。

 

企業が商品やサービスを売る際、過大な誇張(表示)をしたり、豪華すぎるプレゼント(景品)を付けたりすると、消費者は本来の品質を確認せずに「お得そうだから」という理由だけで選んでしまいます。これは健全な市場競争を妨げるため、消費者庁が厳しいルールを敷いています。

 

2. 景表法の二本柱:不当表示の禁止と景品類の制限

 

景表法は大きく分けて、**「表示の規制」と「景品類の規制」**の2つで構成されています。

 

① 不当表示の禁止
消費者に誤解を与えるような嘘や大げさな表現を禁止しています。主な類型は以下の3つです。

 

優良誤認表示 品質、規格、その他の内容について、実際よりも著しく優良であると見せかけたり、競合他社よりも優れていると偽ったりすることです。(例:普通の和牛なのに「松阪牛100%」と表示する)

 

有利誤認表示 価格や取引条件について、実際よりも著しく有利(安い・お得)であると誤解させる表示です。(例:いつでも1,000円なのに「今だけ半額!通常2,000円」と表示する「二重価格表示」など)

 

その他誤解を招く恐れのある表示 おとり広告(実際には買えない商品を載せる)、原産国の虚偽表示、ステルスマーケティング(ステマ)などがこれに該当します。

 

② 景品類の制限

 

「おまけ」で釣って粗悪品を売ることを防ぐため、景品(プレゼント)の最高額や総額が細かく決められています。

景品の種類 内容 最高額 総額
一般懸賞 商品購入者等に対し、抽選等で提供

取引価額5000円未満:取引価額の20倍

取引価額5000円以上:10万円

懸賞に係る売上予定総額の2%

共同検証 地域や業界が共同で行う抽選で提供 30万円 懸賞に係る売上予定総額の3%
総付景品 購入者全員、または先着順で提供

取引価額1000円未満:200円

取引価額1000円以上:取引価額の10分の2

なし

 

3. 「ステマ規制」

 

近年の大きなトピックは、ステルスマーケティング(ステマ)の法規制化です。インフルエンサーなどが、広告主から依頼(金銭や物品提供)を受けているにもかかわらず、「自分で買ってお気に入りです!」といった風を装って投稿する行為が厳しく制限されるようになりました。現在は、広告である旨を明記(「PR」「広告」などの表記)しない限り、景表法違反となるリスクがあります。

 

4. 違反した場合のペナルティ:想像以上に重い代償

 

もし景表法に違反すると、消費者庁から以下の措置が取られる可能性があります。

 

措置命令: 違反した事実を一般消費者に周知徹底させ、再発防止策を講じるよう命じられます。これは実名で公表されるため、企業の信頼は大きく損なわれます。

 

課徴金納付命令: 不当表示を行っていた期間の対象商品の売上額の3%を国に納付しなければなりません。数億円規模になるケースも珍しくありません。

 

刑事罰: 措置命令に従わない場合は、懲役や罰金が科されることもあります。

 

5. 事業者が取るべき対策:誠実さが最大の防衛策

 

景表法は「故意(わざと)」でなくても適用されます。「担当者が知らなかった」「確認を怠った」は通用しません。以下のステップで体制を整えることが不可欠です。

 

・根拠資料の準備: 「No.1」「最速」「最大」といった表現を使う場合は、客観的な調査結果やエビデンスを必ず手元に置いておくこと(不実証広告規制への対策)。

 

・社内チェック体制: 現場の熱意が行き過ぎないよう、法務担当や第三者の視点で広告をチェックするプロセスを作ること。

 

・ガイドラインの共有: 景品類の計算方法や、二重価格表示のルールを現場のマーケターに周知すること。