2026/04/13
法改正
「法律が変わったのは知っているが、自社に何が関係するのかよくわからない」——中小企業の経営者・管理職の方から、こうした声を頻繁にお聞きします。2025年から2026年にかけては、労働法・取引法・情報管理法など多岐にわたる分野で重要な法改正が相次いで施行・本格運用されています。
これらの改正を「なんとなく知っている」程度で放置しておくと、取引先からの契約変更要求への対応が遅れたり、労働者からのクレームや行政指導を受けたりするリスクがあります。本記事では、中小企業の経営者・管理職が特に注意すべき5つの主要法改正を取り上げ、それぞれ「何が変わったか」「自社にどう影響するか」「今すぐやるべきこと」の3点に絞って解説します。
2024年11月に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(通称:フリーランス保護法)は、フリーランスに業務を発注する企業に対して、新たな義務を課しています。
フリーランス保護法では、フリーランスに業務委託をする企業(発注事業者)に対して、主に以下の義務が定められました。
「うちはフリーランスとは取引していない」と思っている経営者も多いですが、業務委託でライターやデザイナー、システムエンジニアを活用している場合は対象になります。また、副業人材を「個人事業主」として活用している場合も該当する可能性があります。
発注時のフローを見直し、発注書(業務委託契約書)を必ず交わすことを徹底してください。既存の業務委託先についても、書面で取引条件を明示できているか確認が必要です。
2025年4月から、改正育児・介護休業法の新たな規定が段階的に施行されています。従業員規模を問わず、多くの中小企業に直接影響する内容です。
2025年4月施行の主要な変更点は次のとおりです。
300人超の企業は育児休業取得状況の公表が必要になります。また、規模を問わず、介護に関する制度の社内整備・周知が求められます。「制度はあるけど誰も知らない」という状態では義務を果たしたことになりません。
就業規則・育児介護休業規程の改定と従業員への周知、そして介護状態にある従業員がいれば個別の意向確認の実施が急務です。
2024年1月から、電子取引データの電子保存が完全義務化されました。猶予期間が終了した今、適切な対応ができていない企業は税務調査で問題になりえます。
電子メールで受け取った請求書や契約書などの電子取引データは、紙に印刷して保存するのではなく、電子データのまま法定の要件を満たす形で保存しなければなりません。具体的には以下の要件があります。
「とりあえずPDFをフォルダに保存している」だけでは要件を満たさない場合があります。特に日付・金額・取引先名での検索ができる状態にしておく必要があります。
電子帳簿保存法に対応したシステム(クラウド会計ソフト等)の導入状況を確認し、未対応の場合は早急に整備を進めてください。税理士との連携が特に重要です。
2022年4月に改正個人情報保護法が施行されてから数年が経過しましたが、個人情報保護委員会による監督・指導・命令・罰則の適用は年々強化されており、中小企業も対応が避けられない状況です。
顧客名簿や従業員情報を管理している企業はすべて対象です。「中小企業だから大丈夫」という認識は通用しません。近年、中小企業に対しても指導・勧告の事例が増えています。
プライバシーポリシーの見直し、社内の個人情報取扱規程の整備、そして従業員への教育が必要です。特に社員が個人情報をどのように扱っているかの実態確認が急務です。
2024年4月から、労働基準法施行規則が改正され、労働条件の明示事項が追加されました。新規採用だけでなく、契約更新時にも新たな明示が必要になっています。
2024年4月以降に採用・更新した契約がある場合、新しい様式の労働条件通知書を使っているか確認が必要です。従来の様式をそのまま使い続けていると法律違反になります。
採用・更新時に使用している労働条件通知書・雇用契約書のひな形を最新版に更新し、既存の有期雇用従業員に対して無期転換の申込権を適切に案内してください。
本記事では、中小企業経営者が特に注意すべき2025〜2026年の主要法改正として、以下の5点を取り上げました。
これらの対応を後回しにすることは、行政指導・是正勧告・罰則、さらには取引先・従業員とのトラブルに直結するリスクがあります。一方で、法改正への迅速な対応は、企業の信頼性向上・優秀な人材確保・取引先との関係強化にもつながります。
「どこから手をつければよいかわからない」という場合は、まず弁護士や社会保険労務士に現状のヒアリングを依頼することをお勧めします。当事務所でも、法改正対応の実務支援・就業規則整備・契約書レビューなど、中小企業の経営をサポートするサービスを提供しております。お気軽にご相談ください。