2026/07/06
景表法
「初回500円、2回目以降は自動的に定期購入」「今だけ半額!(実は常時この価格)」「解約ボタンがどこにあるか分からない」——こうした表示や画面設計は、近年「ダークパターン」と呼ばれ、消費者庁や国民生活センターが強く問題視するようになっています。
ダークパターンとは、消費者を意図的に誤認させたり、不利な判断へと誘導したりするウェブサイトやアプリの設計手法の総称です。海外ではEUやアメリカで規制強化が進んでおり、日本国内でも景品表示法(景表法)や特定商取引法(特商法)の執行事例が増加しています。実際に、自社では「よくある販促手法」のつもりで採用していた表示が、行政から措置命令や課徴金納付命令の対象とされるケースも出てきました。
中小企業にとってECサイトやサブスクリプションサービスは重要な収益源ですが、知らないうちに違法な表示・設計を続けてしまうと、行政処分だけでなく、SNSでの炎上やブランドイメージの毀損という深刻なダメージにつながりかねません。本稿では、中小企業の経営者・管理職の方に向けて、ダークパターン規制の内容と実務対応を解説します。
ダークパターンには様々な類型がありますが、代表的なものは以下の通りです。
これらは景表法における「優良誤認表示」「有利誤認表示」や、特定商取引法における通信販売の表示義務・解約妨害規制に抵触するおそれがあります。特に2022年の特商法改正では、定期購入契約について「最終確認画面」での表示義務が明確化され、違反に対する罰則(刑事罰を含む)も強化されました。
消費者庁は近年、通信販売事業者に対する行政処分を積極的に行っています。典型的なパターンとしては以下のような事例が見られます。
ここで重要なのは、こうした処分の多くが「意図的な悪質事業者」だけでなく、成長段階の中小企業やベンチャー企業にも及んでいるという点です。マーケティング担当者や外部の広告代理店が独自の判断で表示文言やLP(ランディングページ)を作成し、経営者が細部まで把握していなかったために処分を受けるケースも少なくありません。課徴金の額は売上額の一定割合に基づいて算定されるため、事業規模によっては数百万円単位の負担となることもあります。
自社のサービスにダークパターン的な要素がないか、以下の観点で点検することをおすすめします。
特に外部の制作会社や広告代理店にLP制作やマーケティングを委託している場合、委託先が作成した表示内容について自社としての最終確認プロセスを設けることが重要です。「代理店が作ったものだから」という理由は、行政処分の場面では免責事由にはなりません。
消費者庁は令和以降、デジタル取引における消費者保護を重点課題として位置づけており、今後もダークパターンに対する監視・執行は強化される見通しです。また、SNSでの「炎上」リスクも軽視できません。一度「悪質な商法」というレッテルを貼られると、行政処分の有無にかかわらず、企業の信用回復には長い時間とコストがかかります。
備えとして有効なのは、次のような取り組みです。
「初回無料」「今だけ特別価格」といった表示は、うまく使えば有効な販促手法ですが、一歩間違えれば景表法・特商法違反として重い代償を招きます。とりわけ中小企業では、マーケティング施策のスピード感を優先するあまり、法務チェックが後回しになりがちです。しかし、行政処分や炎上によって失う信用とコストを考えれば、事前のリーガルチェックは決して「コスト」ではなく「投資」といえるでしょう。
自社のECサイトやサブスクサービスの表示・設計にダークパターン的な要素がないか不安がある方、あるいは新しいキャンペーンの適法性についてご相談されたい方は、ぜひLeONE法律事務所へお気軽にお問い合わせください。初回相談は無料です。
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