Column
2026/08/06
個人情報保護法
「プライバシーポリシーはホームページ制作会社に任せて、公開したきり一度も見直していない」という中小企業経営者の方は少なくありません。しかし、プライバシーポリシーとCookie(クッキー)に関する表記は、個人情報保護法や電気通信事業法の改正により、年々求められる水準が高くなっています。テンプレートのまま放置していると、知らないうちに法令違反の状態になっているケースも珍しくありません。
本コラムでは、企業法務を専門とする弁護士の立場から、中小企業の経営者・管理職の方が押さえておくべきプライバシーポリシーとCookieポリシーの整備ポイントを、実務的な観点から解説します。
プライバシーポリシーの見直しが急務となっている背景には、主に次の3つの要因があります。
「うちは個人情報を扱う業種ではないから関係ない」と考えている経営者の方もいらっしゃいますが、問い合わせフォームやアクセス解析ツール(Google Analyticsなど)、広告タグを1つでも設置していれば、ほぼすべての企業が対応対象となります。
プライバシーポリシーは、個人情報保護法上「利用目的の公表」「安全管理措置の公表」などの義務を履行するための手段として位置づけられます。単なる形式的な文書ではなく、法律上の義務を果たすための重要な文書である点をまず理解しておく必要があります。
個人情報保護法に照らして、プライバシーポリシーに最低限盛り込むべき項目は以下のとおりです。
特に見落とされがちなのが、クラウド型の顧客管理システム(CRM)や外部のメール配信サービスを利用している場合の「委託」または「第三者提供」の整理です。海外事業者のサーバーにデータが保存される場合は、外国にある第三者への提供として追加の説明義務が生じることもあるため、注意が必要です。
2023年6月に施行された改正電気通信事業法では、ウェブサイトやアプリを通じて取得した利用者情報を外部の事業者に送信する場合に、利用者への通知または公表、あるいは同意取得等の措置を求める「外部送信規律」が新設されました。
この規律は、いわゆる「Cookie規制」と呼ばれることもありますが、対象となるのはCookieに限りません。次のような仕組みを利用している場合は、対応が必要となる可能性があります。
対応方法としては、(1)通知・公表事項をプライバシーポリシーとは別に「外部送信ポリシー」として整理する方法や、(2)Cookie同意管理ツール(Consent Management Platform)を導入し、利用者の同意状況を管理する方法などがあります。自社サイトの規模やアクセス解析の利用状況に応じて、適切な方法を選択することが重要です。
すべてのウェブサイトが規律の対象となるわけではなく、一定規模以下の事業者や、送信される情報が第三者への提供を伴わない場合など、対象外となるケースもあります。ただし、自社が対象外であるかどうかの判断には専門的な検討を要するため、自己判断で「うちは関係ない」と結論づけることは避けるべきです。
実際に中小企業のウェブサイトを確認すると、次のような不備が頻繁に見受けられます。
これらの不備は、平時には表面化しにくいものですが、個人情報漏えい事故が発生した場合や、取引先からのデューデリジェンスの場面で一気に顕在化し、企業の信用に関わる問題となります。
プライバシーポリシーとCookieポリシーの見直しは、以下のステップで進めることをお勧めします。
プライバシーポリシーやCookie対応の不備を放置した場合、次のようなリスクが想定されます。
プライバシーポリシーとCookieポリシーは、一度作成すれば終わりというものではなく、事業内容の変化や法改正に応じて継続的に見直すべき「生きた文書」です。特に外部送信規律への対応は比較的新しい制度であり、自社が対応済みかどうかを把握していない企業も多く見受けられます。
まずは自社サイトで利用しているCookieや外部サービスの棚卸しから始め、プライバシーポリシーの記載内容が実態と一致しているかを確認することをお勧めします。
自社のプライバシーポリシーが法令に準拠しているか不安な方、外部送信規律への対応方法について具体的なご相談をされたい方は、ぜひLeONE法律事務所へお気軽にお問い合わせください。初回相談は無料です。
個人情報保護法対応やウェブサイトの法務チェックを含む企業法務サービスの詳細については、企業法務サービスの詳細はこちらからご確認いただけます。