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偽装請負とは?発注企業が問われるリスクと契約見直し方

2026/09/08

労働法

偽装請負とは?発注企業が問われるリスクと契約見直し方

「業務委託」のつもりで発注した契約が、実態次第では偽装請負と判断され、発注企業が行政指導や損害賠償のリスクを負うことがあります。本記事では判断基準と契約書・現場運用の見直しポイントを解説します。

偽装請負とは何か|労働者派遣・業務委託との違い

偽装請負とは、契約書の形式上は「業務委託」や「請負」となっているにもかかわらず、実態としては発注企業が受託企業の労働者に対して直接指揮命令を行い、労働者派遣と変わらない働かせ方をしている状態を指します。

本来、請負・業務委託契約では、受託企業が自らの従業員に対して指揮命令を行い、発注企業は完成した成果物や役務の提供を受け取るにとどまります。これに対し労働者派遣は、労働者派遣法に基づく許可を得た事業者が、派遣先の指揮命令のもとで労働者を働かせる仕組みです。

偽装請負は、この二つの中間に位置する「契約は請負、実態は派遣(それ以上)」というグレーゾーンの状態であり、労働者派遣法や職業安定法が定める許可・届出の枠組みを潜脱するものとして、発注企業・受託企業の双方が規制の対象となります。

偽装請負と判断される具体的な基準

偽装請負に該当するかどうかは、契約書の文言ではなく実態で判断されます。厚生労働省の告示(いわゆる37号告示)などに基づく代表的な判断要素は次のとおりです。

  • 指揮命令の所在:発注企業の担当者が、受託企業の従業員に直接業務の割り振りや作業手順の指示を行っていないか
  • 勤怠管理:出退勤時刻の管理、休憩・休暇の許可、残業の指示を発注企業が行っていないか
  • 服務規律の適用:発注企業の就業規則や社内マニュアルに、受託企業の従業員を従わせていないか
  • 設備・場所の提供実態:作業に必要な機材や執務スペースを発注企業が提供し、あたかも自社の従業員のように扱っていないか
  • 契約内容と実態の乖離:契約書上は成果物完成型(請負)なのに、実際の対価計算が稼働時間・人数ベースになっていないか

これらの要素が複数当てはまるほど、偽装請負と判断されるリスクが高まります。特に、IT開発の常駐委託やコールセンター業務、製造ラインでの応援要員など、発注先の現場に受託企業の従業員が常駐する業態では注意が必要です。

発注企業が偽装請負で問われる法的リスク

偽装請負が発覚した場合、発注企業には以下のようなリスクが生じます。

  • 行政指導・是正勧告:労働局・労働基準監督署の調査により、契約形態や業務運用の是正を求める指導が行われます
  • 職業安定法違反としての罰則:無許可の労働者供給事業に該当すると判断された場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象となり得ます
  • 直接雇用のみなし・請求リスク:受託企業の従業員から、発注企業に対して直接雇用や未払い残業代を求める主張がなされる可能性があります
  • 取引先・株主からの信用低下:行政処分や報道により、既存取引先との契約解除や新規取引の停止につながることもあります

これらのリスクは、発注企業が「契約書上は請負だから問題ない」と考えていても、現場の運用実態によって顕在化する点に注意が必要です。

是正指導・行政指導を受けた場合の初動対応

労働局などから偽装請負の疑いで調査・指導を受けた場合、初動対応が今後の展開を大きく左右します。

  • 事実関係の調査:誰が、いつ、どのような形で指揮命令を行っていたかを客観的に整理します
  • 是正計画の策定:指揮命令系統や勤怠管理の主体を受託企業側に戻すための具体的な計画を立てます
  • 関係者への説明・記録化:現場責任者や受託企業への説明内容、是正の経緯を書面で残します

初動を誤ると是正指導が行政処分に発展するおそれもあるため、早い段階で企業法務を専門とする弁護士に相談することをおすすめします。無料相談のお問い合わせから、初動対応の進め方についてご相談いただけます。

契約書・現場運用で見直すべきポイント

偽装請負のリスクを防ぐためには、契約書の文言だけでなく、現場の運用実態まで含めた見直しが不可欠です。

  • 契約書の明確化:成果物・納期・対価の算定方法を明記し、指揮命令権が受託企業側にあることを契約書上も明確にします
  • 業務マニュアルの整備主体:作業手順書やマニュアルは受託企業が作成・管理する体制に改めます
  • 現場担当者への周知・研修:発注企業の現場担当者が受託企業の従業員に直接指示を出さないよう、社内研修を実施します
  • 定期的な契約監査:チェックリストを用いて、契約と実態の乖離が生じていないか定期的に確認します

契約書の条項設計は業種や取引形態によって最適な形が異なるため、御社の契約書が実態に即した内容になっているか、専門家によるチェックを受けることも有効です。法律事務所LeONEでは、発注者側の実務に即した契約書レビューをご提案しています。

まとめ|偽装請負リスクを防ぐための体制整備

偽装請負は、発注企業が「知らなかった」では済まされないリスクをはらんでいます。契約書の文言だけを整えても、現場の運用実態が伴っていなければ、行政指導や損害賠償請求につながりかねません。

特に、常駐型の業務委託やIT開発の準委任契約など、発注先の現場で受託企業の従業員が働く形態を採用している企業は、指揮命令系統や勤怠管理の実態を今一度点検することをおすすめします。

契約書の見直しや社内体制の整備でお困りの際は、担当弁護士のご紹介ページから、企業法務を専門とする弁護士にご相談ください。