Column
2026/07/29
フリーランス保護法
フリーランスや個人事業主に業務を委託する機会が増える一方で、2024年11月に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(通称・フリーランス新法)への対応が追いついていない中小企業は少なくありません。「知らなかった」では済まされず、行政指導や勧告、企業名公表といった措置につながる可能性もある重要な法律です。本コラムでは、企業法務の実務家の視点から、発注企業が今すぐ確認すべきポイントを整理します。
フリーランス新法は、特定受託事業者(従業員を使用しないフリーランス)に業務委託をする事業者に対し、取引条件の明示や報酬の適正な支払いなどを義務付ける法律です。下請法が資本金要件によって適用対象を限定していたのに対し、フリーランス新法は従業員を雇用していない発注事業者であっても、フリーランスに業務委託をする限り原則として適用対象となる点が大きな特徴です。
つまり、これまで下請法の対象外だった小規模な会社や個人事業主であっても、フリーランスに仕事を依頼していれば規制の対象になり得るということです。「うちは下請法の対象企業ではないから関係ない」という認識は危険であり、まずは自社の外部委託先にフリーランスが含まれていないかを棚卸しすることが出発点になります。
フリーランス新法では、発注事業者に対して主に次のような義務が課されています。
特に見落とされがちなのが「報酬の支払期日」です。従来、検収完了後や請求書受領後を起点に支払サイトを設定していた企業でも、給付受領日を起点として60日以内という基準を満たしているか、改めて確認する必要があります。
取引条件の明示義務に対応するためには、既存の契約書式や発注書のテンプレートを点検することが欠かせません。実務上、以下の項目が明確に記載されているかを確認してください。
口頭やメールの断片的なやり取りだけで発注している場合、後から「言った・言わない」のトラブルに発展しやすく、フリーランス新法上も明示義務違反として指摘されるリスクがあります。発注時に必ず所定のフォーマットで書面通知する運用に切り替えることが望ましいでしょう。
フリーランス新法の違反が疑われる場合、公正取引委員会や中小企業庁、厚生労働省といった行政機関が報告徴収や立入検査を行うことがあります。是正されない場合には勧告が行われ、勧告に従わない場合は企業名が公表される可能性もあります。さらに、報告拒否や検査拒否などには50万円以下の罰金が科される規定もあります。
企業名の公表は、直接の罰金以上に取引先や採用市場からの信用低下という形で経営に影響を及ぼしかねません。金銭的な制裁の大きさだけでなく、レピュテーションリスクとして捉えることが重要です。
実務でよく相談を受けるのは、次のようなケースです。
これらのトラブルを防ぐには、契約書の段階で報酬の変更・修正対応の範囲・権利の帰属・契約解除の手続きを明確に定めておくことが有効です。特にフリーランスへのデザイン、開発、コンサルティングといった業務では、成果物の著作権の帰属や二次利用の可否をめぐるトラブルが多く、契約書に明記していないケースが目立ちます。
フリーランス新法は、資本金規模にかかわらず幅広い企業に影響する法律です。「うちは関係ない」と思い込まず、まずは自社の委託先の棚卸しと契約書・発注書の見直しから着手することをおすすめします。特に報酬支払期日の設定方法や取引条件の明示方法は、既存の運用を変更する必要があるケースが多く、早めの対応が望まれます。
自社の契約書がフリーランス新法に対応できているか不安な方、業務委託契約の見直しをご検討の方は、ぜひLeONE法律事務所へお気軽にお問い合わせください。初回相談は無料です。
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