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国際取引契約の準拠法と裁判管轄|発注企業が見直すべき条項

2026/08/24

企業法務

国際取引契約の準拠法と裁判管轄|発注企業が見直すべき条項

海外企業との契約締結時に準拠法や裁判管轄を曖昧にしたまま契約書を交わすと、紛争発生時に高額な訴訟費用や自社に不利な判決を招くおそれがあります。国際取引契約で発注企業が確認すべき準拠法・裁判管轄・言語条項の実務ポイントを解説します。

国際取引契約とは何か|準拠法・裁判管轄が重要な理由

国際取引契約とは、異なる国に拠点を置く企業同士が締結する売買契約、代理店契約、業務委託契約などを指します。国内取引であれば当然に日本法・日本の裁判所が適用されると考えがちですが、相手方が海外企業である場合、どの国の法律が適用され、どの国の裁判所が管轄するかは契約書に明記しない限り自動的には決まりません。

この点があいまいなまま契約を締結すると、いざ紛争が発生した際に、相手国の裁判所で、相手国の言語・法律に基づいて争わなければならない事態も起こり得ます。現地の弁護士費用や通訳費用がかさむだけでなく、日本企業にとって不慣れな法制度のもとで不利な判断を受けるリスクも否定できません。準拠法条項・裁判管轄条項は、契約書の中でも紛争発生時の企業防衛力を左右する最重要条項の一つです。

準拠法条項の決め方|自社に有利な法域を選ぶポイント

準拠法条項とは、契約の解釈や履行、有効性の判断にどの国の法律を適用するかを定める条項です。交渉力に応じて、可能な限り自社にとって馴染みのある日本法を準拠法として指定することが望ましいといえます。

相手方の本国法を準拠法として受け入れざるを得ない場合は、その法域における契約解釈の傾向や強行法規の内容について、あらかじめ現地の法律専門家の助言を得ておくことが重要です。また、国際物品売買契約に関する国際連合条約(CISG)が自動的に適用される場合があるため、これを望まない場合は契約書上で明示的に適用除外(オプトアウト)を定めておく必要があります。

契約書の準拠法条項の作成でお困りの場合は、企業法務を専門とする弁護士へのご相談をおすすめします。法律事務所LeONEでは、発注企業側の実務に即した契約書対応をご提案しています。

裁判管轄条項の実務|専属管轄と非専属管轄の違い

裁判管轄条項には、特定の裁判所のみで審理を行う「専属的合意管轄」と、他の裁判所への提訴も妨げない「非専属的合意管轄」の2種類があります。非専属的合意管轄を選択すると、相手方が別の国の裁判所に並行して提訴する事態(並行訴訟)を招き、対応コストが二重にかかるおそれがあります。

そのため、可能な限り自社の本店所在地を管轄する裁判所を専属的合意管轄として明記することが望ましいといえます。もっとも、日本の裁判所で勝訴判決を得たとしても、相手国でその判決が承認・執行されるとは限らない点にも注意が必要です。判決の承認・執行に関する条約の締結状況や、相手国の民事訴訟制度を踏まえたうえで、管轄条項の設計を検討することが求められます。

言語条項の落とし穴|英文契約と和文契約の優先順位

国際取引契約では、日本語版と英語版など複数言語の契約書を作成するケースが少なくありません。この場合、双方の文言に食い違いが生じたときにどちらを優先するかを定める「言語条項」が不可欠です。言語条項を定めずに契約を締結すると、翻訳の解釈の違いが紛争の火種となることがあります。

特に、専門用語や責任範囲を定める条項は、直訳しただけでは本来の法的意味が正確に伝わらないことがあります。契約締結前に、国際契約の実務に精通した弁護士によるバイリンガルでの内容確認を行うことで、こうした食い違いを未然に防ぐことができます。担当弁護士のご紹介ページでは、各弁護士の専門分野をご確認いただけます。

仲裁条項という選択肢|訴訟との比較とメリット・デメリット

国際取引契約では、訴訟に代わる紛争解決手段として「仲裁」を選択する企業も増えています。仲裁による判断(仲裁判断)は、ニューヨーク条約の締約国間であれば外国での執行が比較的容易であり、非公開で審理が進むため取引先との関係悪化を最小限に抑えられる点がメリットです。シンガポールや香港、ICC(国際商業会議所)など、中立的な仲裁地・仲裁機関を選定できることも利点といえます。

一方で、仲裁人への報酬や手続費用が高額になりやすく、判断に対する不服申立ての機会が限られる点はデメリットです。取引金額や継続的な取引関係の有無を踏まえ、訴訟と仲裁のどちらが自社にとって適切な紛争解決手段かを見極めることが重要です。

契約書レビューの体制整備|国際取引前に企業が準備すべきこと

国際取引契約の締結にあたっては、担当者が契約書を締結する前に、社内の法務担当者または顧問弁護士によるレビューを必須とする体制を整えることが第一歩です。準拠法・裁判管轄・言語条項をはじめとする重要条項のチェックリストを整備し、案件ごとにばらつきのない審査を行える仕組みを構築しましょう。

また、頻繁に発生する取引類型については、あらかじめ自社に有利な条件を盛り込んだ標準契約書のひな形を用意しておくことで、個別交渉の負担を軽減できます。国際取引契約の審査体制の構築や個別契約書のレビューでお悩みの企業様は、無料相談のお問い合わせから気軽にご相談ください。