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フリー素材・AI生成画像の著作権リスク——広告・SNS投稿で中小企業が陥りがちな落とし穴

2026/07/28

企業法務

フリー素材・AI生成画像の著作権リスク——広告・SNS投稿で中小企業が陥りがちな落とし穴

「フリー素材だから自由に使える」「AIが作った画像だから著作権の心配はない」——こうした思い込みが、思わぬ法的トラブルを招くケースが増えています。広告バナー、SNS投稿、Webサイトのビジュアルなど、日々の業務で画像を使う機会は非常に多く、中小企業においても知的財産権のリスク管理は避けて通れないテーマになっています。

本記事では、企業法務を専門とする弁護士の視点から、フリー素材とAI生成画像に潜む著作権・商標リスクの実態と、中小企業が今日から実践できる具体的な対策をわかりやすく解説します。

1. 「フリー素材」の落とし穴——利用規約を読まずに使うと危険な理由

「フリー素材サイト」と一口に言っても、その利用条件は各サイトによって大きく異なります。「商用利用可」と書かれていても、以下のような制限が付いていることが少なくありません。

  • クレジット表記(作者名の記載)が必須
  • 加工・改変の禁止または制限
  • ロゴ・商標としての使用禁止
  • 再配布・二次配布の禁止
  • 特定の業種(アダルト、ギャンブル、政治・宗教関連など)での使用禁止

特に注意すべきは、素材サイト自体が「無断転載素材」を集めて「フリー素材」として提供しているケースです。この場合、そもそもサイト運営者に適法な権利がないため、利用者が善意で使用していても著作権侵害の責任を問われるリスクがあります。実際に、フリー素材サイトからダウンロードした画像を広告に使用した企業が、真の権利者から損害賠償請求を受けた事例も報告されています。

実務上のチェックポイント

フリー素材を利用する際は、必ず利用規約全文を確認し、「商用利用可」の一言だけで判断しないことが重要です。また、素材サイトの運営者情報や運営実績を確認し、信頼性の低いサイトからの利用は避けるべきです。

2. AI生成画像は「著作権フリー」ではない——3つの誤解

生成AIツール(画像生成AI)の普及により、「AIが作った画像なら誰の著作物でもないから自由に使える」と考える経営者・担当者が増えています。しかし、この認識には重大な誤解が含まれています。

誤解1:AI生成画像には著作権が一切発生しない

確かに、現行の著作権法上、AIが自律的に生成した画像そのものには(人間の創作的関与が乏しい場合)著作権が発生しないとされる可能性が高いとされています。しかし、これは「誰でも自由に使える」ことを意味するものではありません。利用しているAIサービスの利用規約によって、生成物の商用利用条件や権利の帰属が個別に定められているのが実情です。

誤解2:学習データの権利関係は関係ない

AI生成画像が、学習データに含まれていた既存の著作物(特定のイラストレーターの画風や、実在するキャラクター、企業のロゴなど)と類似性が高い場合、既存の著作権・商標権を侵害するリスクがあります。「AIが作ったから」という理由は、既存の権利侵害の免責事由にはなりません。

誤解3:どのAIサービスも同じ条件である

画像生成AIサービスによって、商用利用の可否、生成物の権利帰属、第三者の権利侵害があった場合の責任分担(補償条項の有無)は大きく異なります。無料プランでは商用利用不可、あるいは生成画像の著作権をサービス運営者が保持するといった規約も存在します。

3. 実際に起こりうるトラブルのパターン

中小企業の現場で実際に起こりやすいトラブルとして、以下のようなパターンが挙げられます。

  • 広告バナーに使用したフリー素材が、実は無断転載品だった——真の著作権者から使用差し止めと損害賠償を請求される
  • AI生成画像が特定のキャラクターに酷似——キャラクターの著作権・商標権を持つ企業から警告を受ける
  • SNS投稿用に生成した画像に、実在企業のロゴに似たマークが写り込んでいた——商標権侵害を指摘される
  • フリー素材の利用規約に反してロゴとして使用——後から規約違反を指摘され、ブランドイメージの再構築を余儀なくされる

これらのトラブルは、発覚した時点ですでに広告として世に出回っている、あるいは印刷物として大量に配布済みであることも多く、対応コスト(差し替え費用、謝罪対応、損害賠償)が経営に与える影響は決して小さくありません。

4. 中小企業が今すぐ実践できる社内ルールづくり

こうしたリスクを未然に防ぐためには、属人的な判断に頼らず、社内で統一されたルールを整備することが有効です。

ステップ1:素材利用のガイドラインを作成する

「利用してよい素材サイト・AIサービスのリスト」を会社として定め、担当者が個人の判断で未知のサービスを利用しないようにします。

ステップ2:利用規約の確認を業務フローに組み込む

素材をダウンロード・生成した際は、利用規約のスクリーンショットや該当URLを保存しておく運用にすることで、後日の規約確認や証拠保全が容易になります。

ステップ3:類似性チェックを行う

特にAI生成画像については、既存のキャラクターやロゴと酷似していないか、画像検索等で簡易的に確認する習慣をつけることが望ましいです。重要な広告展開やロゴ利用の場合は、専門家によるチェックを検討しましょう。

ステップ4:外部委託先・制作会社との契約を見直す

広告制作やデザインを外部に委託している場合、納品物の著作権処理・素材の適法性について、委託契約書上で責任の所在を明確にしておくことが重要です。「納品物に第三者の権利侵害がないことを保証する」旨の条項が入っているか、改めて確認しましょう。

5. まとめ——「知らなかった」では済まされないリスク管理を

フリー素材やAI生成画像は、コストを抑えつつスピーディーに広告・販促活動を行える便利なツールですが、その利便性の裏には見落とされがちな著作権・商標リスクが存在します。「無料だから」「AIが作ったから」という理由だけで安易に利用を進めるのではなく、利用規約の確認、社内ルールの整備、外部委託契約の見直しといった地道な対策を積み重ねることが、企業のブランドと経営を守ることにつながります。

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